人事労務のすべてをジャンガテック「SURUPAs」クラウドへ

JANGA TECH COLUMN |

人を増やさずに一人当たりの付加価値を上げる経営

社員をもっと忙しくするのではなく、社員がもっと価値を生み出せる会社へ。

株式会社ジャンガ・テック 代表取締役 劉 桂栄(りゅう けいえい)

ジャンガ・テック代表取締役 劉桂栄の公式プロフィール掲載画像
人の可能性を広げる経営へ。ジャンガ・テック代表取締役 劉 桂栄。

前回の「社長の思いを、現場の力に変える」に続き、今回は一人ひとりの力を付加価値につなげる経営を考えます。

「売上を伸ばしたい。そのためには、もっと人が必要だ」

会社を経営していると、そう考える場面があります。もちろん、新しい事業への挑戦や、必要な専門性を確保するための採用は大切です。

ただ、その前に一度立ち止まって考えたいことがあります。

今いる社員が、本来の力を発揮できる仕事の仕組みになっているでしょうか。

資料を探す。何度も転記する。同じ説明を繰り返す。社長や上司の返事を待つ。こうした時間を残したまま人数だけを増やしても、本当に目指したい成長には近づけないかもしれません。

私が考える「人を増やさずに一人当たりの付加価値を上げる経営」とは、少ない人数に無理をさせる経営ではありません。一人ひとりの経験、判断力、創造力を、お客様と会社の未来に、もっと活かす経営です。

1.「人を増やさない」と「人を大切にしない」は、まったく違う

最初にはっきりさせたいのは、この考え方が、人員削減や採用の停止を目的としていないということです。

残業を増やし、休みにくくし、一人に何人分もの仕事を背負わせる。それでは、人数は変わらなくても、社員の時間と健康を余分に使っているだけです。私が目指したい経営ではありません。

まず見直すべきなのは、社員の人数よりも、仕事の中身です。

今の業務に、本当に必要なものは何か。以前は必要でも、今は役割を終えた作業はないか。判断する人を増やすべきところに、確認する人だけを増やしていないか。

その整理をしたうえで、必要な採用は行う。新しい力を迎えるときにも、同じ無駄を背負わせない土台を用意する。

人を増やす前に、人が活きる仕組みを増やす。 この順番を、経営者として大切にしたいと思います。

2.付加価値は、「忙しさ」でも「作業件数」でもない

本稿では付加価値を、まず「お客様の課題を解決し、自社が新たに生み出す価値」という意味で考えます。成果を数字で検証するときには、売上、利益、付加価値額を混同せず、自社に合った計算方法をそろえる必要があります。

大切なのは、たくさん作業をしたかどうかだけではありません。その仕事によって、お客様の何が良くなったかです。

例えば、営業担当者が提案書を十件作ったとしても、お客様の課題に合わなければ、十分な価値につながったとはいえません。一方、一件の相談でも、課題を整理し、必要な解決策を示し、安心して意思決定できる状態をつくれたなら、そこには大きな意味があります。

人事担当者も同じです。書類の処理だけで一日が終わる状態と、手続きの正確さを保ちながら、社員の不安を聞き、配置や教育を考えられる状態では、役割の広がりが違います。

もちろん、正確な事務処理そのものにも価値があります。なくすべきなのは事務の仕事ではなく、二重入力や不要な確認など、専門性を発揮する時間を奪っている負担です。

また、お客様に届けた価値が、会社を支える収益として残ることも大切です。導入後の支援や個別対応にどれだけ時間を使うかを把握し、提供する範囲と料金を分かりやすく説明する。安さだけで選ばれるのではなく、何を解決できるのかに納得して選んでいただく。その関係をつくることも、付加価値を高める経営の一部です。

「何件処理したか」に加えて、「誰の、どの問題を、どこまで解決したか」。この問いを、仕事の評価に取り入れていきたいのです。

3.AIを入れる前に、仕事の流れを整える

「AIを使えば効率が上がる」と考える前に、そのAIに、どのような仕事を任せるのかを整理する必要があります。

例えば、入社する人の情報を、担当者が紙で受け取り、別の担当者が表計算ソフトへ入力し、さらに給与の担当者が入力し直す。内容が違えば、メールや電話で確認する。

この場合、入力する手を速くすることだけが改善ではありません。そもそも、何度も同じ内容を入力しなくてよい流れをつくることが、先に取り組むべき課題です。

私は、業務改善を「やめる、そろえる、つなぐ、任せる」の順番で考えます。

目的を説明できない作業は、廃止や簡素化を検討する。必要な業務は、担当者によって違っていた手順や判断基準をそろえる。次に、情報が途中で途切れないようにつなぐ。そのうえで、適切な部分をシステムやAIへ任せるのです。

ジャンガ・テックは、創業当初から「紙を使わない経営」を掲げ、ASP/SaaS型サービスを通じて業務のデジタル化に取り組んできました。[1]

その姿勢を、これからのAI活用にもつなげたいと考えています。人が何度も埋め合わせる仕事を減らし、人が考えるための土台を整える。ツールの導入は、そのための手段です。

パソコンの画面を一緒に確認しながら導入支援を行うイメージ
ツールを入れるだけでなく、現場で使える仕事の流れまで整える。出典:SURUPAs公式サイト・導入支援イメージ

4.AIは「社員の代わり」より、「社員の力を広げる存在」へ

AIを活用するとき、私が大切にしたいのは、仕事をすべて任せることよりも、人とAIの役割を具体的に分けることです。

例えば、営業資料の構成案や、説明文のたたき台をAIと一緒につくる。会議の記録から論点を整理し、人が内容を確認する。複数の提案を比較するための観点を出してもらい、現場の事情と照らし合わせる。

一方で、お客様の本当の困りごとを聞くこと、提案に責任を持つこと、社員の事情に向き合うこと、会社として何を選ぶかを決めることは、人が担います。

給与計算のように、決められたルールに従って正確に処理すべき部分には、適切に設定・検証した業務システムを使う。文章や論点の整理には生成AIを使う。すべてを同じ「AI」で片づけず、役割に合った手段を選ぶことが重要です。

私自身も、ホームページ制作・運営、情報発信、採用、社員教育、業務改善に生成AIを活用しています。[1] そこでさらに追求したいのは、作成する量を増やすことだけではなく、考えを伝わる形にし、必要な人へ届けることです。

業務で使う際は、入力してよい情報の範囲を決め、出力の確認者と最終責任者を明確にする。お客様の情報や社員の個人情報を扱う場合は、利用する環境と権限を事前に確認する。便利さと責任を、同じ仕組みの中に置きます。

AIを使って人の存在を小さくするのではなく、人ができる仕事の範囲を広げたい。 それが、私の考える活用の方向です。

5.生まれた時間を「価値」に変えるところまでが経営

ここで、見落としてはいけないことがあります。作業時間が減っただけでは、売上や利益が自動的に増えるわけではないということです。

例えば、十人の社員が、一人一日三十分ずつ作業時間を減らせたとします。月に二十日働くという仮定なら、合計で月百時間の余力が生まれる計算です。

これは説明のための仮定であり、当社や導入企業の実績ではありません。また、百時間がそのまま人件費の削減や、まとまった一人分の稼働になるとも限りません。

重要なのは、その時間を何に振り向けるかです。

営業であれば、既存のお客様へのヒアリングや、提案の改善に使う。人事であれば、入社した社員へのフォローや、育成計画の見直しに使う。開発であれば、品質の改善や、使いにくい部分の解消に使う。

残業が続いていた職場なら、まず適正な働き方へ戻すことも重要な成果です。空いた時間を、すぐ別の作業で埋め尽くす必要はありません。

改善を始める時点で、「生まれた時間を誰が、何に使うか」まで決めておく。そして後から、お客様の反応や品質、収益の変化を確認する。効率化を、会社の成果と社員の働きやすさにつなぐのは、経営の仕事です。

6.営業リーダーの役割は、一人で売ることだけではない

一人当たりの付加価値を考えると、営業リーダーに求める役割も変わります。

もちろん、自分で成果を出す力は必要です。しかし、その人がすべての提案書を直し、すべてのお客様対応に入り、すべてを判断し続ければ、組織の力はその人の時間に制約されます。

私が営業リーダーに期待したいのは、社長の構想と現場の行動をつなぐ、コーチとしての役割です。

社長が大切にしている価値は何か。どのお客様の課題を優先して解決するのか。標準製品で対応する範囲と、個別に検討する範囲はどこか。その基準を、社員が実際の商談で使える言葉に置き換えます。

例えば、「何でもできます」と約束するのではなく、お客様の目的を聞き、標準の仕組みでどう実現できるかを考える。難しい要望は、背景と必要性を整理したうえで開発側へ相談する。

一件受注できても、その後に採算の合わない個別対応が続けば、会社全体の付加価値を高めたとは言い切れません。営業と開発、導入支援が、同じ目的で判断することが大切です。

成功した提案も、失敗した説明も、次の社員が学べる形に残す。自分だけが売れる人から、周囲が考えて売れるように育てる人へ。その変化を、リーダーの成果として評価したいと思います。

7.一人の経験を、会社全体で使える知恵に変える

ベテラン社員の経験は、会社にとって大切な財産です。ただし、その人に聞かなければ何も分からない状態のままでは、本人にも周囲にも負担が集中します。

引き継ぎ資料を増やすだけでなく、「なぜその判断をしたか」を残すことが重要です。

お客様は何に困っていたのか。どのような選択肢を検討したのか。なぜその提案を選んだのか。実行した結果、何が良くなり、何が課題として残ったのか。

こうした記録を、社内で確認できる教材や事例に育てる。AIを活用する場合も、確認済みの社内資料を材料にして、学習用の質問や説明案を作り、人が内容を確かめる形から始めます。

ただし、手順書やAIの回答だけで人が育つと考えてはいけません。お客様と向き合い、先輩と振り返り、自分で判断する経験が必要です。

仕組みが担うのは、学びの出発点をそろえることです。その先で一人ひとりが経験を積めるよう、任せる仕事と支援の仕方を考えます。

教える人ばかりが忙しくならず、学ぶ人が遠慮せずに確認できる。そんな環境をつくることも、一人当たりの付加価値を高める取り組みです。

8.数字は、人を追い込むためではなく、改善を確かめるために使う

「効率が上がった気がする」で終わらせないために、成果は数字でも確認します。

その際、一人当たりの売上だけを見て判断しないことが重要です。利益が残っているか、外部への支払いが増えていないか、社員の労働時間が長くなっていないかも、合わせて見ます。

業務ごとには、処理時間、手戻りの件数、提案後の成約、導入後の継続、お客様からの評価など、目的に合う指標を選びます。最初から大量の数字を集めるのではなく、改善したい仕事に直接関係するものに絞ることです。

また、システムの利用料、設定や教育にかかった時間、AIの出力を確認・修正する負担も忘れずに含めます。見えなくなった作業を、削減できた作業と取り違えてはいけません。

そして、成果は会社だけのものにしない。継続して利益を生み出せるようになったなら、給与や賞与、学ぶ機会、働く環境への還元につなげたいと考えます。

「改善すれば、自分たちの仕事と暮らしも良くなる」。その実感を育てることまで含めて、私は生産性向上だと考えています。

生産性と個人の幸福追求という言葉が書かれた公式掲載画像
生産性の向上を、働く人の成長と幸福につなげる。出典:ジャンガ・テック 代表プロフィール

9.経営者自身も、仕事の仕方を変える

社員に「もっと付加価値を上げてほしい」と言いながら、経営者がすべての判断を抱えたままでは、現場は動きにくくなります。

どのようなお客様の役に立ちたいのか。品質、価格、納期がぶつかったとき、何を優先するのか。現場で決めてよい範囲はどこまでで、どのような場合に相談してほしいのか。

経営者が頭の中で考えていることを、社員が使える判断基準に変える必要があります。

ジャンガ・テックのコラムでも、社長が不在でも組織が動くための土台として、目的、役割、判断基準、必要な情報、相談すべき境界を明確にすることを取り上げています。[2]

私自身も、指示を出すことと、人が判断できる環境をつくることは違うと意識していきたいと思います。

自分で処理すれば早い仕事でも、社員に任せ、振り返ることで、次からはその人が判断できるようになる。そのための時間は、将来への投資です。

社員に変化を求めるなら、まず経営者が変わる。人を育てることを後回しにせず、人が育つ仕事の任せ方へ変えていく。その姿勢を大切にしたいのです。

10.人事・労務の基盤から、一人ひとりが活きる会社へ

こうした経営を進めるうえで、人事・労務の情報と業務の流れを整えることは、重要な出発点になります。

SURUPAsは、人事・労務管理、勤怠管理、給与計算・明細、年末調整、人事評価・タレント管理、総務・組織連携などの領域を扱うクラウドサービスです。[3]

ただし、システムを導入しただけで、一人当たりの付加価値が上がるとは考えていません。どの作業をなくすのか。どの情報をつなぐのか。誰が判断し、誰が支えるのか。使い始めた後、どのように現場へ定着させるのか。そこまで具体化してこそ、仕組みが経営に役立ちます。

ジャンガ・テックでは、製品の相談に加え、現在の運用課題の整理や、導入後の運用支援についてもご相談を受け付けています。[4] 導入する機能や連携範囲は、各社の業務と必要性に合わせて確認します。

いきなり会社全体を変えようとしなくても構いません。まず一つ、繰り返し負担がかかっている仕事を選ぶ。目的と担当者を決め、小さく試し、結果を振り返る。その積み重ねを、会社全体へ広げていくことを提案します。

結び――人数の大きさではなく、人の力を活かせる会社へ

会社の成長を、「何人増えたか」だけで語る必要はありません。

今いる社員が、以前より深くお客様を理解できるようになった。自分で考え、提案できるようになった。別の社員へ知恵を渡せるようになった。そして、お客様に選ばれる理由が増え、会社の成果と働く人の喜びにつながった。

私は、そのような成長を目指したいと思います。

DXからAXへ。本稿でいうAXとは、AIを取り入れ、人の役割と仕事の進め方まで見直していくことです。その中心に置くべきなのは、やはり人です。

人を増やす前に、人の可能性を広げる。
仕事を増やす前に、仕事が生み出す価値を高める。

人を増やさずに一人当たりの付加価値を上げる経営とは、人を削る経営ではなく、人を活かす経営です。

ジャンガ・テックは、人とテクノロジーの力をつなぎ、社員も、お客様も、会社も、ともに成長できる経営を目指していきます。

本文・掲載画像の参照先
  1. ジャンガ・テック「劉 桂栄プロフィール」
  2. SURUPAsコラム「経営者が会社にいなくても、組織が動く仕組み」
  3. SURUPAs公式サイト・製品サービス
  4. SURUPAs お問い合わせ・運用支援のご案内

画像は、ジャンガ・テックおよびSURUPAsの掲載済み素材を使用しています。本文中の「月百時間」は条件を置いた計算例であり、導入実績・効果保証ではありません。