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JANGA TECH COLUMN |

AIに任せる前に、「やめる仕事」を決める

報告を速くするだけでなく、必要な仕事を選び直すAX経営

執筆:株式会社ジャンガ・テックメディアチーム、アイちゃん

代表取締役 劉 桂栄(りゅう けいえい)の経営観をもとに、メディアチームが構成・執筆しています。

仕事の必要性を見直し、報告用ファイルを選び分ける管理者を表現した生成イメージ
仕事を速く回す前に、何を残すかを考える。※説明用の生成イメージであり、実際の社員・顧客・出来事の記録写真ではありません。

前回の「25年の基盤から、次の未来へ。native365が支えるSURUPAsの「人×仕事」」では、人と仕事をつなぐ基盤を紹介しました。今回は、その基盤の上で、人が取り組む仕事そのものを選び直す視点を考えます。

報告書をAIで短時間に作れるようになった。集計や転記も自動化した。それなのに、社員は相変わらず忙しく、お客様への提案や後輩の育成には時間を使えていない。そんなとき、問い直したいのは、処理の速さだけではありません。

その仕事は、いまも誰かの判断や行動に使われているでしょうか。劉桂栄代表が重視する、人の可能性を活かし、顧客価値につなげる経営観を踏まえ、今回はメディアチームが、仕事を増やす前に選び直すAX経営を考えます。

1.速くできることと、続ける価値があることは別

以前は必要だった報告も、情報を確認する方法や組織の役割が変われば、目的を失うことがあります。別の画面で同じ数字を確認できるのに、決まった書式へ書き直す。誰が読むか分からない資料を、前任者からの習慣で作り続ける。自動化に取りかかる前に、こうした仕事が残っていないか確かめてみましょう。

以下は説明のための例示であり、ジャンガ・テックや特定企業の実績ではありません。ある部署が、共通システムに記録済みの進捗を、毎週別の表にも転記しているとします。AIで転記を速くする方法もありますが、受け手が必要な情報を共通システムから得られるなら、別表を作る仕事自体をなくせるかもしれません。

ただし、資料が重複して見えるだけで、不要と決めつけてはいけません。受け手はその表で例外を確認したり、次の判断をしたりしている可能性があります。先に確かめるのは、作り方ではなく、何のために使われているかです。

2.「なくすと、誰の何が困るか」を聞く

作成者だけで見直すと、負担を減らすことが目的になりがちです。一方、受け手だけに聞けば、「念のため残してほしい」で終わることもあります。両者が一緒に、次の点を具体的に確かめることを提案します。

  • 使う場面:この資料や入力結果を、いつ、どの判断に使っているか。
  • 代わりの情報:同じ判断に使える、信頼できる情報源はあるか。
  • なくした影響:作成を止めると、誰がどんな困りごとを抱えるか。
  • 残す理由:安全・品質の確認、約束の履行、必要な記録など、外せない目的は何か。

「読む人がいない」と言う前に、受け手を探す。「いつも必要」と言う前に、使った場面を挙げる。この対話が、必要な仕事と、習慣だけで続く仕事を分ける手がかりになります。

重複した報告用紙を一つにまとめる手元を表現した生成イメージ
同じ情報を書き直す前に、受け手が必要とする内容と情報源をそろえる。※説明用の生成イメージであり、実際の業務の記録写真ではありません。

3.残す・統合する・試験的に止める

見直しの結論は、すべて廃止することではありません。仕事を三つに分けると、現場で次の行動を決めやすくなります。

  • 残す仕事:目的と利用場面が明確で、必要な確認や記録を担っている。責任者と実施方法を確認して続けます。
  • 統合する仕事:目的は必要でも、入力や報告が重複している。情報源と更新担当をそろえ、受け手が必要な形で確認できるようにします。
  • 試験的に止める仕事:利用場面が不明確で、停止の影響を小さく検証できる。関係者と合意し、範囲と期間を限定して確かめます。

必要性を判断できない仕事は、その場で止めません。確認先と判断期限を決めて保留にします。法令や契約に基づく対応、個人情報の保護、安全や品質のための管理、必要な記録の保存は、効率だけを理由に削らず、責任者に要件を確認します。

4.廃止宣言より、戻せる小さな実験

試験的に止めるなら、単に「来週から不要」と伝えるだけでは不十分です。例えば、一つの部署の補助的な報告を対象に、短い期間だけ提出を休止する方法があります。これは進め方の一例であり、あらゆる仕事に適するという意味ではありません。

始める前に、対象・判断した責任者・試す期間・代わりの確認方法・問題が起きたときの連絡先・再開条件を決めます。元のデータや必要な記録を消すことと、報告書の作成を休止することも、区別しておきます。

期間中は、作成時間だけでなく、受け手の確認負担、判断の遅れ、ミス、問い合わせの変化を確認します。作成者の仕事が減っても、別の社員やお客様の負担が増えたなら、成功とは言えません。問題があれば戻す、必要な項目だけ復活させる、別の方法へ変える。戻せる形で試すことが、現場の不安を小さくします。

5.AIは、廃止の決定者ではなく整理の補助役

AIには、業務一覧から似た入力項目を探す、報告の目的を整理する、関係者への確認事項を下書きする、といった使い方を検討できます。ただし、名前が似ている資料でも、目的や必要な確認が違う場合があります。AIが「重複」と分類しただけで、仕事を止める判断はしません。

実際に使う人と責任者が、目的・要件・影響を確かめて決めます。AIへ入力する情報も、社内で認められた環境と権限の範囲に限り、顧客名や個人情報など、整理に不要な情報は含めないようにします。

仕事の目的が明確になってから、残す作業を標準化し、必要な部分を自動化する。この順番なら、AIの速さを、不要な仕事を続けるためではなく、価値のある仕事を支えるために活かせます。

管理者と若手社員が改善用の試作品を一緒に確かめる様子を表現した生成イメージ
生まれた余力を、小さな改善や育成の機会へ。仕事を減らした先の行動まで考えます。※説明用の生成イメージであり、実際の社員や出来事の記録写真ではありません。

6.空いた時間の行き先まで、経営で決める

仕事を見直して余力が生まれても、すぐに別の報告で埋めてしまえば、働き方は変わりません。お客様の困りごとを聞く、提案を磨く、後輩と判断の理由を振り返る、現場から出た改善案を試す。何に時間を戻すのかを、管理者と社員が共有しておくことが大切です。

評価するのも、作った資料の量やAIを使った回数だけではありません。必要な判断ができたか、顧客対応の質が保たれたか、社員が自ら改善を提案できたかを見ます。仕事の廃止を提案した人が「仕事をしていない」と見られないよう、管理者自身が、目的と成果を基準に評価する姿勢を示します。

7.情報を集める仕組みから、活かせる仕事へ

ジャンガ・テックのSURUPAsは、人事・労務情報の一元化と活用を支援するサービスです。情報を一つの基盤で共有する考え方は、同じ内容を何度も入力・転記する仕事を見直す出発点になります。ただし、導入すればすべての重複が自動的になくなるわけではありません。既存業務の目的と、誰が情報を使うかを一緒に整理する必要があります。

人の強みを活かし、自律的な行動と継続的な成長につなげるために、まず人の時間を何が占めているかを見る。技術の導入と、仕事の選び直しをつなぐことが、DXからAXへ進む経営の一歩になります。

AIに何を任せるかを決める前に、人が何を続ける価値があるかを確かめる。やめる仕事を選ぶことは、社員の価値を減らすことではありません。その力を、もっと意味のある仕事へ向けるための経営判断です。

執筆:株式会社ジャンガ・テックメディアチーム、アイちゃん