SURUPAs COLUMN|2026.09.08
経営者の磨き― AX時代
AIが答えをつくる時代だからこそ、経営者には「何を問うか」「何を決めるか」「誰のために進むか」が、これまで以上に問われます。AX時代に磨くべき経営者の力を考えます。

AIが進化するほど、経営者自身が問われる
AX(AI Transformation)は、単にAIツールを導入することではありません。AIを会社の仕事、判断、顧客価値、そして成長の仕組みに組み込み、経営そのものを変えていくことです。
AIは大量の情報を整理し、文章や画像をつくり、分析や予測まで行います。しかし、会社がどこへ向かうのか、何を大切にするのか、最後にどの責任を引き受けるのかは、AIが決めることではありません。そこには、経営者の志と覚悟が必要です。
AX時代に磨くべきものは、AIの操作技術だけではありません。AIを生かす「経営者自身」です。
経営者の形は一つではない
経営者の考え方や会社の動かし方、描く未来像は、事業の内容や歩んできた経験によってそれぞれ違います。現場へ足を運び、お客様や社員の声を直接つかむことを重視する「現場型」の経営者。数字や根拠を分析し、筋道を立てて判断する「理論型」の経営者。そして、社会や技術の変化を先に読み、まだ見えていない未来を描く「未来型」の経営者がいます。
どの型にも強みがあり、どれか一つだけが正しいわけではありません。現場型の経営者は実態をつかむ力に優れ、理論型の経営者は再現性のある仕組みをつくり、未来型の経営者は新しい可能性へ会社を導きます。自分らしい経営を貫き、優れた経営者になることは、どの型からでも可能です。
現場型
お客様と社員の声、仕事の実態、日々の変化を自分の目と耳で確かめる力。
理論型
数字と根拠を整理し、誰もが実行できる戦略と仕組みに変える力。
未来型
技術と社会の変化を読み、まだ存在しない価値と会社の未来を描く力。
しかし、変化の速いAX時代に将来性を持って発展し続けるには、現場・理論・未来の三つを結びつける「トータルバランス」が欠かせません。
現場だけを見ていれば、今日の課題には強くても、将来の変化を見失うことがあります。理論だけを重視すれば、正しく見える計画が現場では動かないことがあります。未来だけを語れば、社員が何から始めればよいのか分からなくなります。現場で事実をつかみ、理論で整理し、未来へ向けて決断する。この循環をつくることが、これからの経営者に求められる磨きです。
大切なのは、自分の得意な型を捨てることではありません。自分の強みを中心に置きながら、足りない視点を学び、社員や専門家、そしてAIの力も借りて補うことです。経営者のトータルバランスは、生まれつき決まるものではなく、日々の対話、実践、振り返りによって磨き続けることができます。
第一に磨くのは、志と目的
AIに「何ができるか」を聞く前に、経営者は「何のために使うのか」を明確にしなければなりません。売上を上げるためだけなのか。社員の単純作業を減らし、人にしかできない仕事へ時間を戻すためなのか。お客様への対応を速く、正確に、温かくするためなのか。同じAIでも、目的によって使い方も結果も変わります。
志が明確であれば、AIは会社を前へ運ぶ力になります。目的が曖昧であれば、便利な道具が増えても、現場の仕事はかえって分散します。経営者の思いを言語化し、社員とAIが同じ方向を向ける状態をつくることが、AXの出発点です。

第二に磨くのは、問いの力
AIは、問いの質によって答えの質が変わります。これは経営も同じです。「どうすれば売れるか」だけではなく、「お客様は本当は何に困っているのか」「この仕事はなぜ残っているのか」「社員が力を発揮できない原因は何か」と問い直すことで、表面ではなく本質が見えてきます。
良い経営者は、すぐに答えを与える人ではなく、組織が考え始める問いを投げかける人です。AIを壁打ち相手にしながら仮説を広げ、社員やお客様との対話で現実を確かめる。その往復が、新しい価値を生み出します。
第三に磨くのは、判断と責任
AIの提案は速く、もっともらしく見えます。しかし、正しいとは限りません。情報の偏り、前提の誤り、数字では測れない事情もあります。経営者は、AIの答えをそのまま採用するのではなく、事実を確かめ、自社の理念とお客様への責任に照らして判断する必要があります。
AIに任せる仕事、人が確認する仕事、経営者が決断する仕事を分けることも重要です。効率化できるものは大胆に任せる。一方で、人の人生、評価、採用、取引、会社の未来に関わる判断は、説明できる形で責任を持つ。この境界を決めるのが経営です。

第四に磨くのは、人間力
AIが論理と情報を補うほど、人にしかできない力の価値は高まります。相手の表情から不安を感じ取ること。異なる意見を受け止めること。失敗した社員にもう一度挑戦する勇気を与えること。お客様との信頼を長い時間をかけて育てること。これらは、会社を動かす大切な経営資産です。
経営者が学び続け、間違いを認め、感謝を言葉にし、自ら変わる姿を見せれば、社員も安心して挑戦できます。AXは人を小さくする変革ではありません。人の可能性を広げるための変革でなければなりません。
経営者の磨きが、会社の未来を磨く
AX時代は、完成された経営者を求めているのではありません。毎日問い直し、学び、試し、振り返り、自分自身を更新し続ける経営者を求めています。AIの速さに焦るだけでなく、どの方向へ進むのかを磨く。知識を増やすだけでなく、人と組織の力を引き出す器を磨く。それが、これからの経営者の仕事です。
AIを使う会社から、人とAIが共に成長する会社へ。その変化は、経営者が自分を磨くことから始まります。
私自身も、AXの完成形を知っているわけではありません。だからこそ、社員、お客様、パートナーの皆様と対話しながら、一つひとつ実践し、学び続けたいと考えています。経営者が変われば、問いが変わる。問いが変われば、社員の行動が変わる。社員の行動が変われば、会社の未来が変わります。
株式会社ジャンガ・テック
代表取締役 劉 桂栄
JANGA TECH × SURUPAs
人とAIが共に成長するAXへ
ジャンガ・テックは、25年にわたる自社開発と業務改革の経験を生かし、SURUPAsによる人事労務DX、AI活用、組織づくりを一体で支援します。機能導入だけでなく、目的の整理から運用定着まで伴走します。
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