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SURUPAs COLUMN|2026.08.17

中国の大地で見た再生可能エネルギー― 混迷する日本は、いつまで決断を先送りするのか ―

最近、大連から阜新、故郷の内モンゴル自治区奈曼旗、そして北京へ。高速鉄道(中国の新幹線)や車で移動したからこそ見えた風力発電機と太陽光パネルの風景から、日本のエネルギーの未来を考えます。

高速鉄道の車窓から見た風力・太陽光発電

大連から北京へ。移動の先に続いていたもの

最近、私は中国の大連を訪れ、遼寧省の阜新、故郷である内モンゴル自治区の奈曼旗、そして北京まで移動しました。大連から阜新へは高速鉄道(中国の新幹線)で向かい、阜新から奈曼旗へは車で移動。奈曼旗から再び阜新へ戻り、最後は高速鉄道で北京へ向かいました。

高速鉄道や車で長い距離を移動したおかげで、各地の景色をじっくり見ることができました。その中で強く印象に残ったのは、どこまでも続く風力発電機と太陽光発電設備でした。

広大な平原にも、乾いた土地にも、道路沿いにも、数え切れないほどの風車が立っています。その間には太陽光パネルが整然と並び、土地全体が巨大な発電所へ変わっているように見えました。

再生可能エネルギーは、資料の中の数字ではありません。中国では、すでに国土の風景そのものを変える規模で建設が進んでいる。私は今回の旅で、その現実を自分の目で確かめました。

「計画」ではなく、「実行」が風景をつくる

中国国家能源局によると、2025年末の風力発電設備は6.4億kW、太陽光発電設備は12億kWに達しました。両者を合わせた設備容量は18.4億kWで、全国の発電設備容量の47%を占め、設備容量ベースで火力発電を上回りました。

もちろん、設備容量がそのまま実際の発電量を意味するわけではありません。風も太陽も天候によって変動します。それでも注目すべきは、目標を決め、発電設備を建設し、送電網や蓄電設備、市場制度まで整えていく実行の速さです。

奈曼旗の広大な風力・太陽光発電基地

日本のエネルギーは、なぜ「混迷」して見えるのか

日本も再生可能エネルギーを進めていないわけではありません。第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成として、再生可能エネルギーを4~5割程度、原子力を2割程度、火力を3~4割程度とする見通しが示されました。

しかし、再エネを増やせば送電網や出力制御が課題になり、原子力には安全性と地域合意、火力には燃料輸入と脱炭素の課題があります。日本は土地が限られ、自然災害も多く、中国と同じ方法をそのまま採用することはできません。

ただし、「条件が違う」ことを、決断を遅らせる理由にしてはいけないと思います。日本には太陽光、洋上風力、蓄電池、水素、省エネルギー、送配電制御など、多くの技術があります。問題は、それらをどの順番で、どの地域に、誰の責任で実装するのかが見えにくいことです。

必要なのは「一つの正解」ではなく、実行できる組み合わせ

エネルギー議論では、「再エネか原子力か」「環境か経済か」という二者択一になりがちです。しかし、現実の政策に一つだけの万能な答えはありません。

風況の良い地域では陸上・洋上風力を進め、工場や物流施設、公共施設の屋根には太陽光を増やす。余った電力は蓄電池や水素に回し、地熱、水力、バイオマスも地域資源として活用する。そして送電網を広域で使い、必要な場所へ電力を動かせるようにする必要があります。

AIやデータを使って需要を予測し、工場・オフィス・店舗の電力使用を最適化することも重要です。企業が「電気を買うだけの存在」から「つくる・ためる・調整する存在」へ変われば、エネルギー転換は新しい産業と雇用を生み出します。

日本のエネルギーの未来を見つめる経営者

エネルギー政策は、企業の競争力そのものである

安定した電力が、適正な価格で、将来も使えること。それは生活の基盤であると同時に、企業が日本で投資を続けるための条件です。

データセンター、AI、半導体、製造業の高度化によって、電力需要は今後さらに重要になります。再生可能エネルギーを利用できるかどうかは、海外企業の投資判断やサプライチェーンへの参加条件にも直結します。

エネルギー政策を環境部門だけの課題として考える時代は終わりました。これは産業政策であり、地域政策であり、安全保障であり、企業経営そのものです。

迷いながらでも、前へ進む日本へ

大連から阜新、故郷の奈曼旗、そして北京へ向かう道中で見た風車と太陽光パネルは、未来は会議の中だけではつくられないことを教えてくれました。決断し、土地を選び、設備を建て、運用し、改善を続けることで、初めて現実になります。

再生可能エネルギー、原子力、火力、省エネルギー、蓄電、送電網。どれか一つを敵にするのではなく、安全性、安定供給、経済性、環境性を現実的に組み合わせる。そして、決めたことは地域と対話しながら速やかに実行する。

混迷する日本のエネルギーに必要なのは、将来への責任を持った決断と、それを風景に変える実行力です。

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