JANGA TECH COLUMN | 2026.09.27
AIからSIの時代へ――その由来と未来
米中トップが示したAIの未来を、日本企業はどう活かすか
株式会社ジャンガ・テック 代表取締役 劉 桂栄(りゅう けいえい)
前回の「中秋の月に考える、日本のDX・AIのこれから」に続き、今回は世界のAI対話からSI時代の企業経営を考えます。
2026年9月、世界のAIをめぐる動きに、私は非常に重要な変化を感じました。
トランプ大統領と習近平国家主席による米中トップ会談では、競争関係を前提としながら、AIがもたらすリスクと便益について対話を続けることが話題になりました。
私は、この動きを単なる国際政治のニュースとして見るのではなく、「世界がAIをどう使うか、どう管理するかを考える段階へ入った」という経営へのメッセージとして受け止めています。
1.AI大国の議論を、日本企業の経営へ
米国と中国はAIをめぐって競争しています。しかし、AIが社会や安全に与える影響は、一国だけでは完結しません。
では、私たち日本企業は何を考えるべきでしょうか。
私は、答えは「AIを導入するかどうか」ではなく、AIを会社のどこに置き、何を任せ、人間が何を担うのかを決めることだと思います。
社員がChatGPTを使う。それだけでAI経営になるわけではありません。AIを業務、データ、組織、人材育成につなぎ、会社全体の付加価値を高めていく必要があります。
2.「人がAIを使う」から「AIが仕事をする」へ
これまでの企業システムは、人が操作することを前提につくられてきました。勤怠を入力する、給与を計算する、採用情報を確認する、人事評価を集計する。システムは人の指示を受けて処理します。
AI時代には、この関係が変わります。
人が目的を示す。AIが必要な情報を探し、分析し、提案する。業務の一部を実行する。そして人間が重要な判断をし、責任を持つ。
人間 → システムという関係から、人 ⇄ AI ⇄ データ ⇄ 業務が常につながる会社へ。これが次の企業変革だと考えています。
3.そして、その先にSIがある
AIのさらに先に議論されているのがAGI(Artificial General Intelligence=汎用人工知能)、そしてSI、より一般的にはASI(Artificial Superintelligence=人工超知能)という未来概念です。
現在のAIは、文章、画像、分析、検索など多くの領域で人を支援します。AGIは、より幅広い領域を横断して学習・推論・実行する知能として議論されています。そのさらに先のSI・ASIは、多くの知的領域で人間を大きく上回る能力を持つという考え方です。
ただし、SIがいつ、どのような形で実現するかは分かりません。だから私は「何年にSIが来るか」を当てることより、その時代が来ても対応できる会社を、今からどうつくるかが重要だと思っています。
4.SI時代ほど「人」が重要になる
AIが賢くなればなるほど、人間の役割はなくなるのでしょうか。私は逆だと思います。
何を目指すのか。なぜそれをするのか。誰を幸せにしたいのか。会社は何のために存在するのか。どこまでAIに任せ、最後に誰が責任を持つのか。
こうした目的・理念・倫理・責任は、人間の経営そのものです。
これからの経営者には、すべての答えを自分で持つこと以上に、AIに対しても社員に対しても、正しい問いをつくる力が求められるでしょう。
5.SURUPAsで、未来を今日の仕事へ落とし込む
この考え方は、ジャンガ・テックがSURUPAsで進めている方向にもつながります。
採用、人事、勤怠、給与、評価、教育、個人情報管理。バックオフィスには企業の重要なデータが集まっています。
これまでは「正しく処理する」ことが中心でした。これからは、データをつなぎ、AIが状況を分析し、必要な対応を提案し、人が判断する。バックオフィスを単なる処理部門ではなく、経営を支える知能へ変えていくことができます。
AIで生まれた時間を、さらに別の作業で埋めるのではなく、お客様と話す、人を育てる、未来を考える時間へ戻す。それが私たちの考えるAI活用です。
6.AIからSIへ――未来を待つのではなく、今日から準備する
IT、クラウド、DX、AX、AI。新しい技術は、最初は「まだ早い」と言われても、やがて企業の当たり前になってきました。
SIも同じ道を進むかどうかは、まだ分かりません。しかし、AIがより高度になっていく流れを見れば、企業側の準備は今日から始められます。
今日の仕事を一つ変える。今日のデータを一つつなぐ。AIに任せる仕事と、人間が責任を持つ仕事を一つ決める。
その積み重ねが、未来の会社をつくります。
7.世界のトップの議論を、中小企業の現場へ
世界のトップがAIの未来を議論する今だからこそ、私たち日本企業も、それを自分たちの経営へ落とし込む必要があります。
大企業だけの話ではありません。むしろ人が限られている中小企業ほど、AIを正しく活用したときの効果は大きいはずです。
AIからSIへ。
これは技術だけの進化ではありません。
「人は何をするのか」「会社は何のために存在するのか」を、もう一度考える時代への進化です。
ジャンガ・テックは、未来を待つのではなく、SURUPAsとともに、その未来を今日の仕事からつくっていきます。
参考情報
- 2026年9月の米中首脳会談に関する各国政府発表・主要報道。AIのリスクと便益をめぐる対話について参照。
