パソコン(PC)による勤怠データ収集について

従業員が使うパソコンを活かした勤怠データ収集方法はたくさんあります。ここで例としてその中の2種類を紹介します。

Windowsログによる勤怠データ収集
厚生労働省が定めた労働時間を管理するガイドラインでは、「始業・終業時間の確認と記録手段としてPCの稼働時間の記録も含まれています」とされています
PCログには、Windowsの「システム」ログのことを指しています。このログの中で、PCの電源をオンにしてからオフにするまでを記録していて、これが、始業・終業時間は労働時間となります。下記の図はログによる勤怠データ収集のイメージです。
勤怠登録イメージ
適用範囲
PCを用いて作業する従業員の限りします。工場、店など現場で作業する従業員の対して適用できません。この原因で、PCログ収集による勤怠データ収集は適用範囲は狭いとは思いますが、特定の環境ではちゃんと管理する必要があります。過去、PCログが労働時間として認定された事例もあります。参考サイトは
http://www.rodo-journal.co.jp/hanrei867.html
この2006年に起きた「PE&HR事件」では、時間外手当などが支払われておらず、タイムカードによる管理を行っていなかったため、労働時間の推定が難しいとされていました。しかし、PCログの情報を基に労働時間を推定・算出し、その時間が認められました。
メリット
一番大きなメリットは、余分な設備投資しなくで、従業員が使用するPCのログを収集し解析するだけで勤怠データの収集ができ、何時でも勤怠管理を開始できることです。

ログによる管理の問題点

上記の適用範囲内でも下記のような問題があります。実際運用中に十分な注意が必要です。

1.始業・終業時のPCのオン・オフ管理問題
始業時にPCをオンにし、終業時にPCをオフにすることをちゃんと義務化して管理する必要があります。PCの電源をオンにしたまま終業し帰宅したら、次の日にPCの電源オン操作もなくなり、勤怠データの始業・終業時刻の判断がはっきりできなくなる恐れがなります。
2.ログ収集と管理に手間かかる問題
取得するログの量が多くなり、管理する手間が大きくなることです。専用のツールを使わない場合は、先程の方法で1台ずつPCのログを直接確認する必要があります。従業員の人数に比例して管理業務は多くなるため、収集・管理に膨大な時間を使うことになります。
3.柔軟な働き方に対応しにくい
実際の一部の勤怠情報を正確に把握できないことがあります。PCログはPCのオン・オフを基に管理するため、事務所に出社しない外出する従業員の労働時間を正確に把握することができません。近年では、事務所に出社しない働き方も増えていますが、PCログの管理だと対応できません。
4.始業・終業時刻以外、休憩時間などに対応しにくい
PCはのオン・オフにより始業・終業時刻を収集して勤怠データにしているため、始業・終業の間の時間帯の休憩時間などについて把握しにくいです。そのため、勤怠データとして精度に欠けていると言います。
5.不正打刻を防ぎにくい
・自分は出勤せず同僚に打刻させるケース
・打刻せずに退勤し、後日、不正に機械を操作して、実際の退勤時刻より遅い時刻に打刻するケース
・打刻せずに退勤し、社外で時間を過ごした後に再度会社に戻ってきて打刻するケース
などを防ぐことができないです。

専用アプリによる勤怠データ収集

従業員が始業・終業時自分のPC上専用のアプリにアクセスして始業・終業時刻を記録する方法です。
アプリは様々であり、普通はローカルPC限定でアクセスできるアプリで、必要な勤怠関連データも自動的に送信されます。

メリット
1)特別な設備投資がなくても、勤怠データ収集・管理が可能であり便利です。
2)専用アプリに休憩・休憩開始・休憩終了などもデータは自動的に収集されるため、勤怠データを別途収集刷る必要はないです。
3)場合によって、休憩時間の収集も可能です。例えば、専用勤怠データ収集アプリに「出勤」「退勤」「休憩開始」「休憩終了」ボタンを用意して勤怠データを収集する方法とかです。