JANGA TECH COLUMN |
評価は、過去を採点するためだけにあるのか?
成長の約束を、次の仕事と顧客価値へつなげるAX人材育成
執筆:株式会社ジャンガ・テックメディアチーム、アイちゃん
代表取締役 劉 桂栄(りゅう けいえい)の経営観をもとに、メディアチームが構成・執筆しています。

前回の「MUSEに会社の仕事を全部任せても大丈夫?――AI社員の信用と権限を考える」では、AI社員に任せる範囲と、人が守る判断を考えました。今回は、人に関わる判断の中でも身近な「評価」を、次の仕事と成長へつなぐ方法を見つめます。
評価面談で点数と等級だけが伝えられ、社員が「次に何を変えればよいのか」を持ち帰れない。そんな状態では、評価は過去を区切る作業になっても、未来をつくる仕組みにはなりません。
評価は、判定ではなく次の仕事を決める対話
売上や処理件数などの結果は大切です。しかし、一つの数字だけでは、難しい案件を支えたこと、手順を見直したこと、後輩が動けるように知識を渡したことまでは見えません。反対に、努力したという印象だけで結果を曖昧にすれば、評価への納得も損なわれます。
必要なのは、結果と行動を事実で確かめたうえで、「次の期間にどんな仕事を任せ、どんな支援をするか」を話し合うことです。評価を未来へ向けると、面談は点数の説明から、成長の約束を結ぶ場へ変わります。
「事実」「解釈」「期待」を混ぜない
評価の言葉が曖昧になる理由の一つは、観察した事実、評価者の解釈、これからの期待が一文に混ざることです。たとえば「主体性が足りない」だけでは、本人は何を直せばよいか分かりません。
- 事実:いつ、どの仕事で、どんな行動や結果があったか。
- 解釈:その行動が、役割や顧客への価値にどう影響したと考えるか。
- 期待:次はどんな行動を、どの場面で試してほしいか。
この三つを分ければ、評価者と本人の見方が違っても、どこから対話を始めるかが明確になります。人格を決めつけず、仕事の事実から話せることも重要です。
例示:数字に表れにくい貢献をどう扱うか
ここからは説明のための架空例です。ある担当者の案件処理件数が、同じチームの平均より少なかったとします。件数だけを見れば、評価を下げる判断になるかもしれません。しかし記録を確かめると、その担当者は複雑な例外対応を引き受け、同時に新人へ手順を説明していたとします。
このとき「見えない貢献だから高く評価する」と直ちに結論づけるのでも、「件数が少ないから低い」と決めるのでもありません。例外対応と育成が本人の役割に含まれていたか、顧客対応やチームの仕事にどんな影響があったか、次は負荷をどう分けるかを確認します。
会社や職種によって評価基準は異なります。この例は実績ではなく、事実を一方向から見ないための考え方を示すものです。
AIは記録を整えられる。でも、人の可能性は決められない
AIは、目標の記録、面談メモ、研修履歴、業務の振り返りから、確認すべき事実や記録の抜けを整理する補助に使えます。評価者ごとの言葉の偏りに気づくきっかけをつくることも考えられます。
一方で、AIが出した要約や提案には誤りや偏りが入り得ます。人事評価をAIだけで確定したり、本人が知らない情報で不利益な判断をしたりしてはいけません。使う情報の範囲と目的を明らかにし、本人が事実を確かめ、異なる見方を伝えられる機会を残す必要があります。
劉桂栄代表が大切にするのは、デジタルやAIを、人を減らすためではなく、人がより価値ある仕事へ力を向けるために使う経営です。私たちメディアチームは、その経営観に照らせば、AIは人を採点する主役ではなく、対話に必要な材料を整える補助者だと考えます。
成長の約束は、三つまで具体化する
面談の最後に「今後も頑張りましょう」とまとめても、日常の仕事は変わりません。少なくとも次の三点を残します。
- 次に試す行動:どの仕事で、何を変えるのか。
- 会社の支援:上司、仲間、研修、権限など、誰が何を用意するのか。
- 確かめる日:次の評価期末を待たず、いつ途中経過を見るのか。
約束は大きすぎないほうが実行しやすくなります。途中で役割や環境が変わったら、約束そのものを見直します。評価者だけでなく会社側にも支援の責任があることを、記録に残すのがポイントです。
人材育成を、顧客価値までつなげる
評価と育成の目的は、社内の手続きを終えることではありません。説明の質が上がる、引き継ぎが早くなる、例外に落ち着いて対応できる。社員の成長が仕事の変化となり、最後にお客様へ届いてこそ、経営の仕組みになります。
そのため、成長目標は抽象的な能力名だけでなく、顧客や仲間にどんな良い変化を生むかまで言葉にします。会社の方針、本人の役割、日々の仕事が一本につながると、評価は管理のための行事ではなくなります。
SURUPAsで、目標・対話・育成を途切れさせない
目標、評価、面談、スキル、研修の情報が別々の表や担当者に分かれていると、前回の約束が次の仕事へ引き継がれにくくなります。SURUPAsは、人事・労務に関わる情報を一元化し、人材育成の過程をつなげるための基盤づくりを支えます。
ただし、システムを入れれば評価が自動的に公平になるわけではありません。ジャンガ・テックは、現場の課題や運用を確かめながら、どの情報を何のために使うかを一緒に整理します。仕組みと対話の両方を整えることが、人を活かすDX・AXにつながります。
評価を、未来の合意に変える
過去の事実を正しく見ることと、未来の可能性を閉じないことは両立できます。事実・解釈・期待を分け、AIには記録の整理を任せ、人には対話と判断の責任を残す。そして、次の行動、会社の支援、確かめる日を約束する。
評価を終点ではなく、次の仕事の始点にする。その小さな転換が、社員の成長を組織の力へ、組織の力を顧客価値へつないでいきます。
執筆:株式会社ジャンガ・テックメディアチーム、アイちゃん
